ソーシャルゲームと数理

巷でいわゆるソーシャルゲームが流行っているのですが、数理的素養(統計とかデータマイニングとか自動パラメータチューニングとか)がある人にとっては、それをダイレクトに生かしやすい業界なのではと思ってます(まぁこのビジネスが好きかどうかは人によって意見がかなり分かれると思いますが...)。
数理的素養がビジネスに関わるものとしては、金融工学、インターネットの検索エンジンソーシャルネットワークにおける最適な広告配信、ECサイトでのおすすめ機能、アクチュアリー、そしてある程度はマーケティング戦略などの立案などがあり、何気に幅広いのです。(そのため、一見すると文系の仕事と思える投資銀行や戦略コンサルや一部企業のマーケティング職を目指す理系学生がある程度いるのです。少なくとも私やその周りはそうだったし!)

ソーシャルゲームではモチーフもさることながらレベル設計(敵の強さ・アイテムの出やすさなど)も非常に重要だと思われるのですが、多分このあたりは統計的に最適なレベルデザインができるのではないかと考えています。ちなみにレベルデザインは専門的なスキルが必要な仕事らしく、海外のゲーム会社ではレベルデザイナーという職種があるらしい。
ソーシャルゲームにおいて、レベルデザインの目標は「難易度などをうまく調整することで、ユーザのモチベーションを下げない程度にユーザに必要な操作(戦うなど)を促し、それに伴い課金などを誘導する」ことと考えられますが、これを満たすレベルデザインはユーザによって当然異なります。しかし、過去にどの程度までお金を支払ったか、どこでプレイを諦めたか、を統計的に探せば、逆にそこから(そのユーザにとって)最適なレベルデザインができそうです。そして他の業界と比べて、調整した結果が(売り上げなどの指標に)多分早く返ってくると思われます。


...ということまでなら色々なサイトや本に書かれていそうなのですが、さらに考えてみる。上記のようなことの方法が確立できたら、あとは自動で最適なレベル設定を動的に行うための仕組みを作ることが可能になるはずです(AIというほどではないだろうが)。そうなると、ベースのレベル設定は自動的に生成し、あとはゲームの運営者が必要に応じて(企画の趣旨に合うように)生成された設定を微調整するというスタイルになるのかもしれません。これは気象のシミュレーションを行うスパコンと、そのシミュレーション結果などの情報を基に最終的な気象予報を行う気象予報士との関係(←どこかでそういう話を聞いた気がする)に近いかもしれません。

別の見方を考えると、データに基づくレベルデザインの仕組みは、冒頭で挙げた他の業界の知見とリンクするかもしれません。ECサイトでタイムセールをやったとして、売り上げが最大になるタイムセールの時間の長さと商品グループと価格を見つけるとか(ちょっと無理があるかな)。将来的には、それらの業界間での人的移動も起こるかもしれません。